STマイクロエレクトロニクス、AIアクセラレータを集積し、エッジ・インテリジェンスを高める初の車載用マイコンを発表
- 車載用マイクロコントローラ(マイコン)「Stellar P3E」は、リアルタイムでのエッジAIアプリケーションを可能にし、自動車のインテリジェンスを大幅に強化
- X-in-1により、ECUにおける多機能統合を簡略化
- 柔軟なリアルタイム性能によりハイブリッド / EVシステムから車体ゾーン・アーキテクチャまで、安全性と応答性に優れたアプリケーションを実現
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多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、車載エッジ・インテリジェンス向けの組み込みAIアクセラレータを集積した初の車載用マイクロコントローラ(マイコン)「Stellar P3E」を発表しました。次世代のSDV(ソフトウェア定義型自動車)向けに設計されたStellar P3Eは、X-in-1により、複数の電子制御ユニット(ECU)の多機能統合を簡略化することが可能になるため、システムコストや重量、複雑さを低減します。
STのグループ・バイスプレジデント 兼 汎用・車載用マイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャーであるLuca Rodeschiniは、次のようにコメントしています。「Stellar P3Eは、高性能のリアルタイム制御とエッジAIを、単一デバイスに集積することで、自動車の電動化の新たな基準を確立し、1チップで最も高い自動車安全レベルを実現します。増強された処理能力、AIアクセラレーション、大容量の拡張可能メモリ、豊富なアナログ機能、スマート・センシング機能、インテリジェントなパワー・マネージメント機能を備えているため、バーチャル・センサなどの新たなアプリケーションに対応できます。自動車メーカーにとって、安全性、効率性、応答性に優れたドライビング体験を生み出すための強力なツールになります。」
Stellar P3Eの最大の特長は、リアルタイムでAIの効率を上げるSTのNeural-ARTアクセラレータ™を内蔵していることで、これは自動車産業向けの組み込みニューラル・ネットワーク・アクセラレータを搭載した初のマイコンになります。専用のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)と、AIワークロード向けの先進的なデータフロー・アーキテクチャ、豊富なセンシング機能を組み合わせることによって、P3Eはスマート・センシングを可能にし、バーチャル・センサなどの新しいアプリケーションの可能性を切り開きます。
Stellar P3Eはマイクロ秒の速さで推論を処理し、従来のマイコンのコア・プロセッサと比較して最大30倍の効率を実現します。これにより予知保全やスマート・センシングなどのリアルタイム機能を支える常時オンかつ低消費電力の人工知能(AI)が可能となり、幅広いアプリケーションに多くのメリットをもたらします。これらの機能は、電気自動車の充電時間を短縮して効率を上げるほか、工場や現場で新機能を迅速に追加することにも役立ちます。自動車メーカーは、多様なAIモデルを利用して新機能を導入し、直観的な動作をより多く追加することで、センサやモジュール、配線、統合作業を最小限に抑えることができます。
Counterpoint Research社のアソシエイト・ディレクタであるGreg Basich氏は、次のようにコメントしています。「ニューラル・プロセッシング(AI処理)をクラウドなど中央集中型ハブから車両のエッジ部に移すことで、次世代の車載インテリジェンスにとって不可欠な要素とされる、ミリ秒未満レベルの意思決定が可能になります。AIハードウェア・アクセラレーションをマイコンに集積することで、自動車メーカーは、車両性能の予知保全やバーチャル・センサによるスマート・センシングなどのアプリケーションによって、先進的な機能を提供できるようになります。超低遅延のセンシングやアクチュエーション制御など高度な機能を実現でき、フルスケール型SoCによるコストや熱の負担もかかりません。」
自動車業界がソフトウェア定義型自動車(SDV)への移行を進める中、その導入に不可欠となる拡張性と柔軟性を実現するのが、Stellar P3Eの内蔵xMemoryです。xMemoryは、相変化メモリ(PCM)をベースにしたST独自の不揮発性メモリであり、本質的に大容量化が可能で、柔軟性にも優れています。従来の内蔵Flashメモリの2倍の密度を備え、車載環境向けに品質信頼性認定も取得しています。この拡張可能なメモリ・ソリューションにより、ソフトウェア・ストレージをダイナミックに拡張できるため、ハードウェアを再設計することなく新機能を取り込み、ソフトウェアの更新ができます。
Stellar P3Eは、包括的エッジAIエコシステム「ST Edge AI Suite」で完全にサポートされています。そのためデータ・サイエンティストや組み込みエンジニア向けに、データセット作成からデバイスへの実装まで幅広く対応が可能です。ST Edge AI Suiteの一部として、Stellar マイコン・ファミリ全体に対応した「NanoEdge AI Studio」ツールが現在入手可能です。さらに、自動車エンジニア向けのSTのオールインワン開発環境「Stellar Studio」にも、Stellar P3Eがすでに統合されています。これらにより、要求の厳しい自動車環境に高度なエッジAIソリューションを容易に導入できる堅牢なハードウェア / ソフトウェア開発エコシステムが一層強化されます。
Stellar P3Eは、2026年第4四半期に量産が開始される予定です。
技術情報:
- Arm® Cortex®-R52+コア(500MHz)によるクラス最高のCoreMarkスコア(8000ポイント超)
- 機能安全とピーク性能のバランスを最適化できるSplit-Lockアーキテクチャ
- 広大なグローバル開発者コミュニティを活用してイノベーションを推進できるオープンArmアーキテクチャ
- 豊富なI/O機能とアナログ機能により、高度な車両ダイナミクスに対応する先進的モータ制御などの多様な機能をサポート
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、約48,000名の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、すべての直接・間接排出(スコープ1および2)、ならびに製品輸送、従業員の出張・通勤による排出(スコープ3の注力分野)におけるカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを進めており、2027年末までに再生可能エネルギーの使用率を100%にする計画です。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。