STマイクロエレクトロニクス、先進的な性能とセキュリティ機能を搭載し、さらなる超低消費電力を実現したSTM32U5マイコンを発表
- 効率的な40nmプロセス技術と革新的な低消費電力機能により、すべての動作モードで消費電力を最小化
- Arm® Cortex®-M33コアと先進的なサイバー・セキュリティ、グラフィック機能、ペリフェラルを搭載し、要件の厳しいコンスーマ機器および産業機器に対応
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多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、次世代の超低消費電力32bitマイクロコントローラ(マイコン)「STM32U5*シリーズ」を発表しました。同製品は、ウェアラブル機器、コンスーマ向けヘルスケア機器、スマート・ホーム機器、産業用センサといったアプリケーションにおいて、性能 / 消費電力間のきわめて厳しい要件に対応します。
業界をけん引する汎用32bitマイコンSTM32ファミリは、きわめて電力効率が高いArm® Cortex®-Mを搭載しており、これまでに数多くの生活家電、産業制御機器、コンピュータ周辺機器、通信機器、およびスマート・シティやスマート・インフラストラクチャにおける管理用機器に採用されています。
STM32U5シリーズは、電力効率に優れたCortex-M33、ST独自の革新的な低消費電力機能および内蔵IPを組み合わせることで、性能を向上させると共に消費電力を削減しています。また、PSAおよびSESIP(Security Evaluation Standard for IoT Platforms)保証レベル3を対象としたハードウェア・ベースの保護機能を含む先進的なサイバー・セキュリティや、優れたユーザ体験を提供するグラフィック・アクセラレータなど、今日のアプリケーションに必要な最先端の新機能が追加されています。
STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるRicardo De Sa Earpは、次のようにコメントしています。「世界のマイコン市場におけるSTのシェアは過去5年でほぼ倍増しており、これまでに20億個以上の超低消費電力STM32マイコンが出荷されています。STは、消費電力の削減に関する専門性や重点的な取組みにより、超低消費電力マイコンにおいて特に高い優位性を持ち、約25%の市場シェアを誇ります。STM32U5シリーズが広く普及し、電力定格や性能、サイバー・セキュリティに優れた新しいコンスーマおよび産業用スマート機器の開発に貢献できることを期待しています。」
Arm社のIoTビジネス担当バイス・プレジデントであるMohamed Awad氏は、次のようにコメントしています。「今日のスマート・アプリケーションでは、セキュアな基盤および優れた電力効率が求められています。Armテクノロジーが採用されたSTの最新マイコンは、電力効率とセキュリティを向上させると共に、Arm Keil® MDKを利用して消費電力を最適化させることができます。」
また、STは、STM32U5マイコン、Wi-Fi®モジュール、Bluetooth®モジュール、および各種センサを含む開発キット「STM32U5 IoT Discovery Kit(B-U585I-IOT02A)」を発表しました。同キットは、Microsoft®社により、新しいAzure Certified Deviceプログラムのリファレンス・ボードとして選ばれています。Microsoft社のAzure IoT担当コーポレート・バイス・プレジデントであるSam George氏は、次のようにコメントしています。「STM32U5マイコンが提供する優れたプラットフォームでは、先進的な機能を利用して、Azure RTOS経由でAzure IoTサービスを提供することができます。2021年を通じ、Microsoftの開発者向けカンファレンスで、STと共にソリューションを共同発表できることを楽しみにしています。」STM32U5 IoT Discovery Kitは2021年内に提供が開始される予定です。
クラウド・コミュニケーション・プラットフォーム・サービスの大手企業であるTwilio社は、STM32U5マイコンの主要顧客として、同マイコンを革新的なIoT機器開発プラットフォーム「Microvisor」に採用しました。Twilio社のリード・プロダクト・マネージャであるJonathan Williams氏は、次のようにコメントしています。 「STM32U5マイコンを使用した開発をいち早く開始したことで、Microvisorは超低消費電力、性能効率、および先進的なサイバー・セキュリティを備えた、顧客ニーズに対応する独自の製品となりました。」
STM32U5マイコンは現在サンプル出荷中で、2021年9月に量産開始予定です。参考サンプル価格は約3.60ドルで、WLCSP(4.2 x 3.95mm)、UQFN48(7 x 7mm)、UFBGA169をはじめとする幅広いパッケージで提供される予定です。
技術情報
低消費電力機能
STM32U5シリーズに導入された革新的な自律動作モードでは、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)とペリフェラルを動作させたままマイコンの大部分をスリープ状態にし、消費電力を削減することができます。動作モードを細かくコントロールできるため、マイコンのメモリを部分的にオフにすることで、未使用セルへの給電を停止します。STM32U5シリーズは、マイコンに適した最先端ノードである40nmプロセス技術を使用して製造されており、動的な動作モードと低消費電力モードの両方で消費電力を低減します。
また、消費電力を最適化する動的電圧スケーリング機能や、Flashメモリを効率的に読み取るARTアクセラレータ™など、すでに実績のある超低消費電力マイコンSTM32L0 / STM32L4 / STM32L5シリーズの機能も搭載されています。ARTアクセラレータは、アップデートにより、マイコン内部メモリに加え外部Flashメモリからのアクセスにも対応可能になりました。
さらに、先進的なDC-DCコンバータとレギュレータ(LDO)を集積して並列接続し、オンザフライで出力を調整することができるため、動的な消費電力を19µA/MHz未満まで削減可能です。
ペリフェラルのアップグレード
低消費電力機能以外にも、Flashメモリ容量の拡大など、要件の厳しいアプリケーションに対応できる新機能が提供されています。最大2MBの内蔵Flashメモリに加え、外部メモリへの高速インタフェースを搭載しているため、メモリ容量の拡張が可能です。また、内蔵Flashメモリのうち最大0.5MBの領域は書き込み対応回数が長寿命化され、最大100,000回の読取り / 書込みサイクルに対応するため、頻繁なデータ書き込みの用途に使用可能です。
さらに、先進的な高速14bit ADコンバータにより、次世代の検出およびトラッキング・アプリケーションにも対応します。
多機能デジタル・フィルタ(MDF)とオーディオ・デジタル・フィルタ(ADF)により、STの実績あるDFSDM(Digital Filter for Sigma-Delta Modulator)がアップグレードされました。これにより、音声アクティビティ検出の性能が向上したため、マイコン・ベースの低コストかつ低消費電力の機器にAIを導入することができます。さらに、ECC(エラー修正符号)メモリがRAMの一部として搭載されているため、安全性が重視されるアプリケーションの要件にも対応します。
サイバー・セキュリティの強化
STM32U5シリーズには、Arm TrustZone®搭載のCortex-M33およびST独自のセキュリティ機能による優れたサイバー・セキュリティ(STM32L5シリーズ)に加えて、最先端の革新的な機能が導入されています。
- AES暗号化アクセラレータと公開鍵アクセラレータ(PKA)により、電力差分分析(DPA)によるサイドチャネル攻撃をハードウェアで防止
- Hardware Unique Key(HUK)によるセキュアなデータ・ストレージ
- アクティブ・タンパ検出
- 摂動攻撃発生時に機密データを消去できる内部モニタリング機能により、POSアプリケーション向けのPCI Security Standards Council(PCI SSC)要件に準拠
新しい開発エコシステム
STM32Cubeソフトウェア・スイートにAzure RTOSが統合され、STM32CubeIDEツールやSTM32CubeMXの設定機能や追加サンプルを使用できるようになる予定です。これにより、性能向上や認証取得に貢献します。
STM32U5 IoT Discovery Kit は、低消費電力通信やさまざまなセンシング、クラウド・サーバへのダイレクト接続を利用することで、幅広いアプリケーションを実現します。同キットには、Wi-Fi、Bluetoothモジュール、MEMSマイク、温湿度センサ、地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロ・センサ、大気圧センサ、ToF(Time-of-Flight)測距センサ、およびモーション・センサが含まれています。
また、ブログ記事もご覧いただけます。
*STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は米国特許商標庁に登録されています。