STマイクロエレクトロニクス、測距性能を向上した低消費電力の次世代マルチゾーン対応ToF測距センサを発表
人物検知、ジェスチャ認識、ロボットなど幅広い産業アプリケーションに最適14
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STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、最新世代の8 x 8マルチゾーン対応ToF(Time-of-Flight)測距センサ「VL53L8CX」を発表しました。同製品は、従来品と比べて周辺光耐性の向上や低消費電力化、光学系の強化など、さまざまな性能向上を実現しています。
STのdToF(direct ToF)測距センサは、波長940nmの垂直共振器を持つ面発光レーザー(VCSEL)、マルチゾーンSPAD(単一光子アバランシェ・ダイオード)検出器アレイ、およびフィルタと回折光学素子(DOE)で構成される光学システムを集積したオール・イン・ワンのモジュールです。同等のセンサで一般的に使用される、従来のマイクロ・レンズ方式を上回る性能を備えています。45° × 45°(対角65°)の広い正方形の視野に照射して反射光を取り込み、64(8 x 8)の独立したゾーンにおいて、30fpsで最大4m離れた対象物の測距が可能です。
VL53L8CXは、新世代のVCSELおよび先進的なシリコン・ベースのメタ光学素子により、測距性能を向上しています。既存製品のVL53L5CXから強化された機能として、周辺光からの干渉に対する耐性が向上し、日中の光で最大検出範囲が170cmから285cmに拡大しました。また、低消費電力モードにおける消費電力が4.5mWから1.6mWに削減されています。
STは、初のマルチゾーン対応ToF測距センサ「VL53L5CX」を2021年に発表しました。性能が向上した新製品VL53L8CXは、従来の光学系を使用する類似製品(実効的なゾーンが少なく屋外で感度が低下)に対する優位性をさらに高めています。VL53L8CXは、8 x 8のマルチゾーン検出技術により、視野角全体にわたって均一な感度と高確度の測距を実現し、周辺光下でも優れた測距性能を提供します。
また、周辺光耐性に優れているため、システム起動やユーザ検知において、機器の応答の安定性向上や高速化に貢献します。VL53L8CXは、ターンキー・ジェスチャ認識ソフトウェア「STSW-IMG035」やGesture EVK開発ツールを含むSTのSTGesture™プラットフォームとして、再現性に優れたジェスチャ操作に求められる高精度を実現します。さらに、GitHubのSTM32 AI Model zooで入手可能な最新のAIモデルを活用することで、ジェスチャ認識やハンド・ポスチャ認識が可能です。
VL53L8CXは、優れた精度を備えているため、産業用の大きな貯蔵庫や倉庫などにあるビンやコンテナ、サイロ、さらには液面検知を含むタンクの内容物のモニタリングも可能です。これにより、コーヒー・メーカーや飲料ディスペンサの性能向上にも貢献します。
ロボット掃除機などの可動ロボットにVL53L8CXを活用することで、床面検出や小型物体検出、衝突回避、段差検知といった機能を向上させることができます。また、同期ピンを使うことで、プロジェクタとカメラのオート・フォーカスにも活用できます。モーション検知や、リアルタイム動作が可能な自動停止機能を備えるとともに、60cm以上の距離でカバーガラスによるクロストークへの耐性を備えています。1MHzのI2CインタフェースおよびSPI接続がサポートされており、最大3MHzでホストへのデータ転送が可能です。
STは、VL53L8CXを使った迅速な評価や開発スタートに貢献するX-NUCLEO-53L8A1機能拡張ボードやSATEL-VL53L8ブレークアウト・ボードを含む開発エコシステムも提供しています。STM32F401 NucleoボードとX-NUCLEO-53L8A1機能拡張ボードを含むP-NUCLEO-53L8A1パックも入手可能で、すぐに使用できます。
VL53L8CXは現在入手可能で、リードレス・パッケージ(6.4 x 3.0 x 1.75mm)で提供されます。単価は、1000個購入時に約3.60ドルです。
詳細については、ウェブサイトをご覧ください。