STマイクロエレクトロニクス、 高効率な2ポートUSB PDアダプタ設計を簡略化する デジタル電源制御IC「ST-ONEMP」を発表

STマイクロエレクトロニクス（NYSE：STM、以下ST）は、高集積･省電力のUSB Power Delivery（USB PD）用デジタル電源制御IC「ST-ONEファミリ」を拡充し、2つの出力を備えた「ST-ONEMP」を発表しました。

ST-ONEMPは、ST-ONEの業界初となるアーキテクチャを採用し、Arm® Cortex®-M0+ベースの電源コントローラ、高電力効率の非相補型アクティブ･クランプ･フライバック･コントローラ、およびUSB PD 3.1インタフェースを1パッケージに集積しています。1次側回路と2次側回路間にガルバニック絶縁を採用しているため、USB PD電源アダプタの設計および実装を大幅に簡略化します。

ST-ONEMPは、パワー･シェアリング機能を備えており、USB PD出力に加えて2つ目の出力を簡単に実装可能です。これにより、ユーザに優れた柔軟性と利便性を提供します。

ST-ONEMPには、2次側回路にCortex-M0+ベースの電源コントローラが組み込まれており、同期整流器とフライバック･コンバータの制御を行います。このコントローラには64KBのFlashメモリが内蔵されているため、USB PDプロトコルおよび電力変換用のファームウェアをカスタマイズ可能です。USB PD 3.1 PPS（プログラマブル･パワー･サプライ）認証済みのファームウェアもFlashメモリにプリロードされているため、標準的なアプリケーション用のターンキー･ソリューションとして使用できます。また、ゼロ電圧スイッチングの非相補型アクティブ･クランプ･トポロジに基づく設計に最適化されており、従来の擬似共振フライバックと比較して高効率･高出力を実現できます。

ST-ONEMPは、先進的なGaN（窒化ガリウム）ワイド・バンドギャップ・トランジスタと高電圧ドライバを搭載した高集積のシステム・イン・パッケージ（SiP）「MasterGaN」と組み合わせて使用することで、より高集積･高効率を実現可能です。STのGaN技術は、従来のシリコンMOSFETよりも高い周波数かつ優れたスイッチング性能を備えているため、最新のエコデザイン基準を満たす高いエネルギー効率と優れた電力密度を備えたアダプタを実現できます。

また、ST-ONEMPとMASTERGAN4を使用したリファレンス設計「EVLONEMP」も提供されており、20Wシングル･ポートのスマートフォン用充電器と同等のサイズと重量で65Wと10Wの出力を備えたAC-DCアダプタ開発に貢献します。従来の2ポート･アダプタと比較すると、ピーク効率は2%高い94%を達成するとともに、基板面積を約1/4に削減することができます。これにより機器メーカーは、省電力化を実現するとともに、筐体サイズを小型化することでプラスチック使用量を削減できるため、より環境に優しい製品を提供することができます。

ST-ONEMPは現在量産中で、SSOP36パッケージで提供されます。単価は、1000個購入時に約3.89ドルです。

詳細については、ウェブサイトをご覧ください。