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STマイクロエレクトロニクス、 次世代EVトラクション・インバータに最適な第4世代SiCパワーMOSFETを発表

  • 2025年にかけて、750V / 1200V耐圧の小型・高効率製品の量産を開始し、SiCのメリットをプレミアムEVだけでなく中・小型EVにも提供
  • 2027年までに、抜本的な技術革新を含む、SiCに関する複数の技術イノベーションを発表する計画
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多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、第4世代 STPOWER SiC(炭化ケイ素)パワーMOSFETを発表しました。この第4世代技術は、電力効率、電力密度、および堅牢性の大幅な向上を実現します。車載機器および産業機器市場のニーズに対応し、特に電気自動車(EV)パワートレインの主要コンポーネントであるトラクション・インバータに最適化されています。また、STは、イノベーションへの取り組みとして、2027年にかけてより高度なSiC技術を発表する計画です。

 

アナログ・パワー & ディスクリート・MEMS・センサ グループ社長であるMarco Cassisは、次のようにコメントしています。「STは、最先端のSiC技術を通じて、次世代eモビリティや産業機器の高効率化の推進に注力しています。また、半導体デバイス、先進的なパッケージ、パワー・モジュールにおけるイノベーションにより、SiC MOSFET技術を発展させ続けています。垂直統合型の製造戦略に加え、業界最高レベルの性能を誇るSiC技術とレジリエンスの高いサプライ・チェーンを提供することで、高まる顧客ニーズに対応しつつ、より持続可能な未来に貢献しています。」

SiCパワーMOSFET市場をけん引するSTは、シリコンMOSFETを上回るSiCの高い効率と電力密度を生かして、さらなるイノベーションを推進しています。最新の第4世代 SiCパワーMOSFETは、次世代EVトラクション・インバータのさらなる小型・省電力化に貢献することが期待されます。EV市場が拡大を続ける一方で、広範な普及には課題が残されており、自動車メーカーは、より低価格でのEV提供を目指しています。SiCをベースにした800V EVバス駆動システムにより、急速充電と車重の軽量化が実現し、より航続距離の長いプレミアムEVの製造が可能になりました。STの新しいSiCパワーMOSFETは、750V / 1200V耐圧製品が提供される予定で、400V / 800V EVバスのトラクション・インバータの高効率・高性能化に貢献し、マス・マーケットへの普及の鍵を握る中・小型EVにもSiCのメリットをもたらします。また、ソーラー・インバータ、電力貯蔵ソリューション、データセンターなど、急速に成長を続ける大電力の産業アプリケーションにも幅広く適しており、電力効率の大幅な向上に貢献します。

 

供給状況
STは、750V耐圧の第4世代 SiCパワーMOSFETの品質認定を完了しました。1200V耐圧製品については、2025年第1四半期に完了する見込みです。その後、定格電圧750V / 1200Vの製品の提供を開始する予定で、標準AC電源電圧で動作するものから高電圧EVバッテリ / チャージャまで、幅広いアプリケーションに使用することができます。

 

応用分野
STの第4世代 SiCパワーMOSFETは、シリコン・ベースのソリューションに比べて、高効率化、部品の小型化、軽量化、航続距離の延長を実現します。これらのメリットは、EVの広範な普及に不可欠であり、主要EVメーカーは同製品の採用に向けてSTと協力を進め、性能および電力効率の向上を図っています。STの第4世代 SiCパワーMOSFETは、EVのトラクション・インバータに最適ですが、優れたスイッチング性能や堅牢性により、大電力の産業用モータ・ドライブにも適しています。より高効率で信頼性の高いモータ制御を実現し、消費電力や運用コストの削減に貢献します。また、再生可能エネルギー分野では、ソーラー・インバータや電力貯蔵システムの高効率化に貢献し、より持続可能でコスト効率に優れたエネルギー・ソリューションを実現します。さらに、小型・高効率であるため、大きな電力需要と熱管理の課題がきわめて重要となる、AI用サーバ・データセンターの電源ユニットにも利用可能です。

 

技術ロードマップ
STは、垂直統合型の製造戦略を通じてSiCパワー半導体の開発を加速させるため、今後3年間にわたるパワー半導体技術の進展および、複数の革新的なSiC技術の開発を並行して進めています。第5世代のSiCパワーMOSFETには、プレーナ構造をベースにした革新的な高電力密度技術が採用される予定です。また、STは既存のSiC技術と比べてさらにオン抵抗を低減させ、特に高温動作時においてきわめて低いオン抵抗(RDS(on))値を実現する抜本的な技術革新に向けた開発も進めています。

 

STは、SiCやその他のワイド・バンドギャップ半導体の最新研究開発成果を発表する科学・産業カンファレンス「ICSCRM 2024」に出展します。2024年9月29日~10月4日にノースカロライナ州ローリー(米国)で開催されるこのカンファレンスでは、STによる技術プレゼンテーションや、基調講演「High volume industrial environment for leading edge technologies in SiC」が予定されています。詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

 

技術情報
STの第4世代 SiCパワーMOSFETは、次世代EVのトラクション・インバータの厳しい要求に対応するため、優れた性能と堅牢性を発揮するように設計されており、電力変換技術の大きな進歩を示しています。従来世代品と比べてオン抵抗がきわめて低く、導通損失を最小限に抑え、システム全体の高効率に貢献します。また、より高速なスイッチング動作によって、高周波アプリケーションにおいて重要となるスイッチング損失を削減し、コンバータの小型・高効率化を実現します。さらに、動的逆バイアス(DRB)条件下でも、AQG-324車載認定規格を上回る高い堅牢性を示し、過酷な条件下でも信頼性の高い動作を保証します。

 

第4世代 SiCパワーMOSFETは、従来世代品と同様に優れた性能指数(オン抵抗 x ダイ面積)を実現しており、大電流を最小限の損失で扱うことができます。第4世代品の平均ダイ・サイズは、25˚Cにおけるオン抵抗で考慮した場合に第3世代品よりも12%~15%小型で、コンバータ設計の小型化、貴重な基板スペースの節約、システム全体のコスト削減に貢献します。また、電力密度が向上しているため、車載・産業アプリケーション両方できわめて重要となる、より小型・高効率のコンバータやインバータ開発をサポートします。これは、スペースと効率が重要な要素であるAI用サーバ・データセンターの電源ユニットにおいて、特にメリットを提供します。

 

SiC技術のリーダーであるSTは、すでに世界各地で500万台以上の乗用車にSTPOWER SiCパワー半導体を供給しています。これにより、トラクション・インバータや、OBC(オンボード・チャージャ)、DC-DCコンバータ、EV充電ステーションなど、さまざまなEVアプリケーションや電動コンプレッサ・アプリケーションにおいて、新エネルギー車(NEV)の性能、効率、航続距離の大幅な向上に貢献しています。統合型半導体メーカーとしてのSTのSiC戦略は、高品質の製品および安定した供給を保証し、自動車メーカーの電動化戦略をサポートします。STは、2026年に生産が開始される予定の完全統合型SiC製造施設(カターニャ、イタリア)について、2024年5月に発表しました。これにより、eモビリティや産業アプリケーションの高効率化に向けた、市場の急速な変遷に対し、迅速に対応します。

 

STのSiCパワーMOSFETの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

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