STマイクロエレクトロニクス、 イタリアに世界初の完全統合型SiC製造施設を建設
- パワー・デバイスおよびパワー・モジュールのテストおよびパッケージング工程を含む新しい200mm SiC製造施設をカターニャ(イタリア)に建設
- 欧州半導体法(EU Chips Act)の枠組みにおいて、イタリア政府が提供する20億ユーロの支援を含む、50億ユーロの複数年投資計画
- Catania Silicon Carbide Campusは、研究開発から製造、基板からモジュールに至る、完全に垂直統合されたSiC製造能力を1つの拠点で可能にするというSTの計画を実現し、自動車・産業分野の顧客の電動化ならびに電力効率向上へのシフトを支援
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多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、パワー・デバイスおよびパワー・モジュールを製造する新しい200mm SiC(炭化ケイ素)製造施設をイタリアのカターニャに建設することを発表しました。この施設には、テスト工程ならびにパッケージング工程も含まれます。この施設は、同じ拠点で準備中のSiC基板の製造施設と合わせて、STのSilicon Carbide Campusを形成し、1つの拠点でSiCを大量生産するための完全に垂直統合された製造施設というSTのビジョンを実現します。Silicon Carbide Campusの設立は、自動車、産業、クラウド・インフラなど、SiC製品を使用する各分野の顧客による電動化への移行や高効率化をサポートするための重要なマイルストーンです。
STの社長 兼 最高経営責任者(CEO)であるJean-Marc Cheryは、次のようにコメントしています。「カターニャのSilicon Carbide Campus が実現する完全に統合化された能力は、今後数十年にわたり、自動車および産業分野のお客様に対する、STのSiC技術のリーダーシップ強化に大きく貢献するでしょう。また、このプロジェクトが提供する規模と相乗効果は、大量生産能力でより優れたイノベーションを可能にするとともに、電動化への移行と脱炭素化目標の達成に向けてよりエネルギー効率の高いソリューションを求めるヨーロッパならびに世界各地のお客様に利益をもたらすでしょう。」
Silicon Carbide Campusは、STのグローバルなSiCエコシステムの中心として機能し、SiC基板開発、エピタキシャル成長工程、200mmウェハ前工程、モジュール組み立て工程を含む製造フローの全工程に加え、プロセス研究開発、製品設計、チップ / パワー・システム / モジュール用の先端研究開発ラボ、および完全なパッケージング工程を統合しています。これにより、基板製造、エピタキシャル成長工程、前工程、後工程の各工程で、歩留りと性能の向上に貢献する200mm技術を採用した、ヨーロッパ初のSiC製品の量産施設になります。
新しい製造施設は2026年に生産を開始し、2033年までにフル稼働することを目指しています。フル稼働時には最大で週当たり15,000枚のウェハを生産する計画です。投資総額は約50億ユーロが見込まれており、欧州半導体法の枠組みにおいてイタリア政府から提供される約20億ユーロの支援が含まれる予定です。Silicon Carbide Campusの設計、開発、オペレーションには、水や電力を含む資源の責任ある消費を確実にする持続可能な取り組みが不可欠です。
追加情報
SiC(炭化ケイ素)は、シリコン(ケイ素)と炭素からなる化合物材料(および技術)であり、電源アプリケーションにおいて、従来のシリコンに対し、いくつかのメリットを提供します。SiCは、広いバンドギャップとその本質的な特性(より優れた熱伝導性、より高いスイッチング速度、低損失)により、特に1200Vを超える高耐圧パワー製品の製造に適しています。ベアダイやSiCモジュールとして提供されるSiC MOSFETは、従来のシリコン製品よりも大電流・低損失でエネルギー効率が向上するため、特に、電気自動車、急速充電インフラ、再生可能エネルギー、およびデータセンターを含むさまざまな産業用アプリケーションに最適です。一方で、SiC製品はシリコン製品よりも製造の難易度ならびにコストが高く、製造プロセスの工業化には多くの課題があります。
STは、25年にわたるSiCの研究開発への注力とコミットメントを通じて、数多くの重要特許を取得しており、主導的地位を確立しています。カターニャ工場は、ST最大のSiC研究開発・製造拠点として、イノベーションの重要な拠点となっており、より優れたSiC製品をより多く製造するための新たなソリューションの開発に貢献しています。STとカターニャ大学およびCNR(イタリア国立研究評議会)との長期にわたる良好な協力関係や、サプライヤの大規模ネットワークを含むパワー・エレクトロニクスの確立されたエコシステムにより、今回の投資は、SiC技術の世界的なコンピテンス・センターとしてのカターニャ工場の役割を強化し、さらなる成長の機会をもたらします。
現在STは、SiCのフラッグシップ製品をカターニャ工場(イタリア)とアン・モ・キョ工場(シンガポール)にある2つの150mm SiCウェハ製造施設において量産しています。また、3つ目の製造施設として、三安光電社との合弁事業により、重慶(中国)にST専用の中国市場向けの200mm SiCウェハ製造施設を建設中です。STのSiCウェハ製造施設は、ブスクラ工場(モロッコ)および深セン工場(中国)にある、自動車向けに認証を受けた組立・テスト施設によりサポートされています。SiC基板の研究開発および製品化は、SiC基板製造施設によって生産を拡大しているノルショーピン工場(スウェーデン)ならびにカターニャ工場で行われています。両拠点には、STのSiC製品の研究開発および設計に携わるスタッフの大半が在籍しています。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、50,000名以上の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、2027年までのカーボン・ニュートラル(スコープ1、2、および3の一部)の実現を目標にしています。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。
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