STマイクロエレクトロニクス、スマート・メータ、スマート・ビルディング、産業用モニタリングで高効率の長距離通信を実現するワイヤレスSoCを発表
低消費電力でマルチプロトコル対応の新しいSTM32ワイヤレスSoCにより、幅広いユース・ケースでワイヤレス・システムの設計を簡略化
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多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、ワイヤレス製品の設計に関する専門性と高性能・高効率のSTM32アーキテクチャを融合させた新しいワイヤレスSoC「STM32WL3」を発表しました。同製品は、優れた省電力技術を採用し、搭載アプリケーションの大幅なバッテリ寿命延長(最大15年間)に貢献します。
STM32WL3は、スマート・ビルディングやスマート・ファクトリ、スマート・シティにおける、メータリングやモニタリング機器、アラーム・システム、アクチュエータ、センサなどからのデータなど、遠隔地に展開されるアプリケーションに最適です。これにより、ユーザ体験やサービスの向上、環境フットプリントの削減に貢献します。STのワイヤレスSoCを機器設計に活用することで、新製品を短期間で開発して市場投入し、最大限の利益を得られます。
STM32WL3は、STの高集積ワイヤレスSoCのラインアップにおける革新的な最新製品です。先進的かつ高電力効率のマルチプロトコル対応無線技術を集積しており、工業・科学・医療(ISM)用に国際的に確保されているライセンス・フリーの周波数帯域を使用した長距離通信に最適です。この主な特長である無線機能に加えて、独自の超低消費電力の無線回路、WOR(Wakeup-On-Radio)を内蔵しており、ウェイクアップ信号を常時モニタリングしながらシステムをパワーダウンして消費電力を抑えた状態で、ウェイクアップ信号を常時受信することができます。
主要顧客は、STM32WL3ワイヤレスSoCを使用してIoT機器の付加価値を高めています。その一例がLierda社のIoT技術です。同社は、STM32WL3を採用し、消費電力を抑えた長距離無線通信機能を既存のネットワーク製品に追加しています。Lierda社のモジュールは、STM32WL33に搭載された超低消費電力の無線待機モード(WOR)を活用して、消費電力を削減するとともに、ポイント・ツー・ポイントまたはポイント・ツー・マルチポイントのワイヤレス通信でネットワーク機器をモニタリングおよび維持することができます。
同じくSTの主要顧客であるSilent Smart Technology社は、STM32WL3ワイヤレスSoCをベースに、さまざまなSub-GHz帯で動作するモジュールの製品ファミリを開発しました。このモジュールは、複数の送信モード、チャネルのモニタリング、ワイヤレス・リレーなどの機能をサポートしています。STM32WL3に搭載された無線によるウェイクアップ機能により、全消費電流がわずか1µAのディープ・スリープ・モードで動作しつつ、迅速にフル動作に復帰できる状態を維持できます。
STのワイヤレス・ビジネス・ライン ジェネラル・マネージャーであるBenoit Rodriguezは、次のようにコメントしています。「STの新しい高機能・長距離ワイヤレスSoCにより、Lierda社やSilent Smart社のような顧客は柔軟性に優れた革新的な製品を開発し、消費電力の大幅な削減と開発期間の短縮を実現できます。低消費電力無線待機モード(WOR)や当社の流量計測用LCセンサ・コントローラといった特別な機能を活用することで、スマート・メータ、スマート農業、およびアセット・トラッキングといったアプリケーションの省電力設計が可能となり、小型バッテリを最大15年間駆動させることができます。」
無線機能とメイン・アプリケーション・コントローラを集積したSTM32WL3は、技術課題の解決および、低消費電力化、小型化、信頼性向上に貢献します。
技術情報
- STM32WL3ワイヤレスSoCの長距離無線は、国際的に認められているライセンス・フリーの周波数帯域413MHz~479MHzおよび826MHz~958MHzで動作します。2024年には、169MHzもサポートする予定です。
- 無線機能は複数のプロトコルと変調方式に対応し、最大600kbit/sの4-(G)FSK、2-(G)FSK、(G)MSK、DBPSK、DSSS、OOK、およびASK変調方式をサポートしているため、幅広い用途において、簡単に導入可能です。消費電流は、受信モードで最大5.6mA、送信モードで9mA(マイコン・コアを含む)であるため、最小限の消費電力で信頼性の高い無線通信が実現します。
- STM32WL3は、周辺回路としてLCDドライバや12ビットの1Mサンプル/sのA-Dコンバータ、アナログ・コンパレータ、D-Aコンバータ、および複数のタイマを集積しています。また、バラン、RFパワー・アンプ、SMPSを内蔵し、外付け部品を最小限に抑えることで、市場投入までの期間を短縮するとともに、コストを最適化したソリューションを実現します。
STM32WL3には、64KB~256KBのフラッシュメモリ容量、16KBまたは32KBのRAM、および32ピンと48ピンのVFQFPNパッケージといった包括的なラインアップが用意されています。さらに、広い温度範囲(-40°C~105°C)に対応した品種も提供されます。また、すべての品種はSTが産業機器向け製品に適用している10年間の長期製造保証プログラムの対象製品です。同製品は、現在サンプル出荷中です。
STM32WL3は、スマート・メータ・アプリケーションのニーズに合わせて、LCDコントローラと、流体流量測定用のペリフェラル(LCセンサ・コントローラ)を内蔵しているため、水道メータや熱コスト・アロケータの設計簡略化に貢献します。また、マルチプロトコルのサポートにより、Sigfox、KNX、mioty、M-Busなど、さまざまな長距離無線技術を1つのプラットフォームでコスト効率よく実装可能です。
10,000個購入時の単価は、約2.04ドルです。10,000個以上の大量購入時の単価については、STのセールス・オフィスへお問い合わせください。評価キットは、近日中に提供が開始される予定です。
詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は米国特許商標庁に登録されています。