STマイクロエレクトロニクス、車載ワイヤレス充電技術のプライバシーおよびセキュリティ保護強化に向けてindie Semiconductor社と協力
最新のQi規格をサポートし、Common Criteria(CC)の最高レベルの認証を取得したSTの新しいセキュア・エレメントが、indie Semiconductor社の車載充電器向けリファレンス設計に採用
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多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、車内でのモバイル機器充電技術におけるプライバシーおよびセキュリティ保護を強化するセキュア・エレメント「STSAFE-V100-Qi」を発表しました。また、車載用半導体メーカーであるindie Semiconductor社(Nasdaq:INDI、以下indie社)と協力し、この新しいセキュア・エレメントをindie社の車載用Qiワイヤレス充電向けリファレンス設計に搭載します。
STSAFE-V100-Qiは、セキュア・エレメントによる保護が要求されているWireless Power Consortium(WPC)の最新規格に準拠した車載用充電器を実現します。また、Qi準拠の充電器に適用可能な最も高いセキュリティ・レベルであるCommon Criteria(CC)EAL4+認証を取得済みのため、サイバー・セキュリティ保護の強化にも貢献します。
STのセキュア・エレメント・ファミリは、金融、チケット発券、ID保護など、セキュリティが重要なアプリケーションにおいて情報および機器の機密性、完全性、真正性を保護することが証明されており、今回発表されたQiワイヤレス充電向けリファレンス設計では、車載アプリケーションの最適な充電機能と安全性の向上に貢献します。
STの工場でQi充電用にカスタマイズされたSTSAFE-V100-Qiは、セキュア・ブート、セキュア・ストレージ、およびセキュア・ソフトウェア・アップデートをサポートしています。これらの保護機能により、リモートによる改ざん・偽造・複製といったリスクに対する保護を強化できます。また、このICはセキュアなソフトウェア更新機能を備えることで、自動車の寿命期間にわたって高レベルのセキュリティが確保されます。
indie社のパワー & USB製品ライン担当バイスプレジデント 兼 ジェネラル・マネージャーであるFred Jarrar氏は、次のようにコメントしています。「当社のQi規格に準拠した先進的なワイヤレス充電向けシリコン・ソリューションにより、あらゆるクラスの自動車で小型機器の充電ができ、車内のユーザ体験が向上します。STのセキュア・エレメントを採用することで、当社のリファレンス設計は最高レベルのサイバー・セキュリティ保護を実現できるため、当社の顧客である車載機器メーカーのブランド保護や、ユーザの安全性、セキュリティ、および安心感の実現に貢献します。」
STのコネクテッド・セキュリティ担当マーケティング・ディレクターであるLaurent Degauqueは、次のようにコメントしています。「STSAFE-V100-Qiを搭載することで、indie社のリファレンス設計は最新のWPC規格とCommon Criteria EAL4+に準拠し、最大15Wの機器の充電保護を保証しています。これにより、indie社の顧客は、高品質の充電システムと最高レベルのセキュリティの両方のメリットを得ることができます。」
STSAFE-V100-Qiは、主要顧客向けに現在サンプル出荷中で、2023年第4四半期に量産が開始される予定です。価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまでお問い合わせください。
詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
技術情報
STのセキュア・エレメントICおよびセキュア・プロセッサは、不正に変更することができないハードウェア・ベースのセキュリティを採用しているため、ソフトウェア・ベースのセキュリティと組み合わせて、または置き換えて使うこともできます。これらのICおよびプロセッサには、電子鍵用のセキュア・ストレージ、暗号アルゴリズムのアクセラレータ、セキュアなソフトウェア・ブート、セキュア・ファームウェア・アップデート、物理攻撃に対する保護といったSTの専門技術が活用されています。
indie社のリファレンス設計は、車室内環境の機器向けに最適化された、高効率かつ堅牢なワイヤレス充電システムの開発期間短縮に貢献します。このリファレンス設計には、indie社のワイヤレス充電IC「iND87200」が搭載されています。iND87200は、業界最先端レベルの半導体集積技術を採用しており、ディスクリート部品を実装した場合と比べて部材コストを約半分に抑えることができます。また、WPC Qi規格への準拠も簡略化します。
STのセキュア・エレメントは、アプリケーション・コードへの不正アクセスを防止して顧客のIPを保護するとともに、エンド・ユーザが機器を充電する際の電気的な安全性の確保とデータ・プライバシーの保護を実現します。また、このリファレンス設計には、STによる車載グレードのNFC(近距離無線通信)リーダIC「ST25R3920B」が搭載されており、Qi充電器のペアリングとNFCカード保護機能の処理を実行します。
indie社のiND87200ワイヤレス充電ICが持つ特殊な機能の1つが、内蔵のブースト・コンバータです。これにより、充電面積を最大化し、最大15Wの電力を安定して充電し続けることが可能です。さらに、一般的な電圧検出と電流検出に加えて、先進的な電力検出回路を搭載しており、システムのインピーダンスと位相をリアルタイムにモニタできます。この先進的な機能により、システムのチューニングとアルゴリズムを最適化できるため、集積度の低い他の方法では実現できない、適応型の異物検出といった高度な機能も実現可能になります。
注記:
- Wireless Power Consortiumによって開発されたQiは、電磁誘導方式のワイヤレス給電に向けたオープンで汎用的なインタフェース規格です。
- Common Criteria for Information Technology Security Evaluation(CC)は、定義された保証レベル(EAL)の元で、製品がどのセキュリティ・レベルに該当しているかを、独立した認定研究機関が判断できるようにするためのものです。EAL4+とは、製品が正しい方法論で設計、試験、実証されていることを示すもので、高レベルのセキュリティが要求される車載用Qi充電技術のような応用機器に適した、一定の保証レベルと脆弱性への耐性を持つことを示しています。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、50,000名以上の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、2027年までのカーボン・ニュートラル(スコープ1、2、および3の一部)の実現を目標にしています。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。
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